• 鑿のQ&A
    小山金属工業所

     いつも当社の刃物、工具、電動工具等ご利用いただきまして、ありがとう
    ございます。
     初代 小山 勝が三木市大宮町に「のみ勝鑿製作所」を創業して50余年 になります。私も初代 小山 勝、2代目 小山 幸夫の下で修行して鑿 鉋を造って37年になります。
     今までに学んできた事や体験ご質問を中心に鑿、鉋、チップソー、スピードコ ントローラー等のQ&Aを書き込んでいきます。
     仕事の合間に書込みますので時間がかかりますが、順次内容を充実させていきますので、よろしくお願い致します。
    小山 勝美


    Q 小山金属の鑿の特徴は?

    A ●欠けず曲がらず長切れする刃物を目指して、次のような製法で造っ
        ています。
        低温鍛接法で鉄と鋼を鍛接し、低温で鍛造(火作り)を行い、窒素ガ
        スバージ焼鈍後、焼入れ焼戻しを行っておりますので結果、刃が研
        ぎ易く最高の切れ味と耐久力があります。

      ●鑿の鍛接から研磨、焼入れ等の加工から刃研ぎ、柄付けまで当社
        工場で一貫生産の為、自信を持ってお届けできます。

      ●ご注文に応じて心を込めて作っております。
        鑿以外の刃物等も鍛造やレーザ加工等を使い対応しております。


    Q 小山金属の鑿や鉋、道具類は何処で購入できますか?

    A 全国の刃物店や金物店、ホームセンター等で購入できます。
      店に無い場合は、店にて御注文いただければ、殆どの専門店で入手
      可能です。
      ホームページからの直販は行っておりませんので、入手困難の場合は
      お問い合わせ下さい。


    Q 低温鍛接法とは何ですか?

    A 次の要素からなっています。

       @鍛接は一般的には重油のバーナで加熱しますので、炎の当たる角
         から温度が上がり、適温で加熱しても角の温度が高くなります。
         当社の加熱炉は硫黄などの不純物が無く熱伝導率の高いクリーン
         なガスを使い加熱する為、短時間で均一に加熱できます。

       A鑿のカスガイは大切ですが、その加工をする為に必要以上に加熱
         をするので、特許製法で鋼をカスガイ状に加工を行ってから鍛接を
         行います。

       B低温でマサのでき難い鍛接法との三つの相乗効果で組織の緻
         密な鍛接ができるのです。


    Q 低温での鍛造(火造り)とは?

    A 鋼を鍛えるのは適温の範囲があって、最初はやや高い目から鍛造し
      温度を下げながら鍛えていくのです。
      この時、内部から短時間で加熱し均熱になるように高周波電流(I H)
      で加熱を行います。
      2回目の鍛造(火造り)は、さらに温度を下げて形を整えていきます。
      こうする事で重油などの硫黄などが入らず、低温で均一な加熱がで
      きるのです。


    Q 焼鈍とは何ですか?

    A 鍛造で鍛え組織を微細化して球状化焼鈍を行えばセメンタイト(Fe3C)
      が球状になり良好な焼入れ性と靭性(じんせい)のある組織となる。
      また、脱炭(鋼から炭素が抜ける)を防ぐ為に高純度窒素(N2)ガスで
      包み込み焼鈍を行っております。


    Q 焼入れ、焼戻しとは?

    A 焼入れ、焼戻しとは熱処理の事で焼鈍を含めた一連の流れで全て
      のバランスが取れて最良の刃物となるのです。
      昔から刀などに焼を入れる事を魂を入れると言われてきましたが、
      この作業で鋼に命を吹き込み硬さや粘りなどが決まってしまいます。
      硬度が入ればできるだけ低い温度で焼きを入れるのが良く、780℃
      でHRC66以上の焼入れを行い、焼戻しで硬度を調整し理想の硬さと
      靭性を出すのです。

    Q 良い鑿の見分け方?

    A 鑿の種類は追入鑿から木成鑿、中薄鑿、厚鑿、差鑿等から内鋼鑿?br>   鏝鑿等たくさんあります。ここでは一般的な大工さんの使う追入鑿、
      中薄鑿を中心に説明します。

      @刃先の鋼がつや良く光っている事で、硬度も高く焼入れむらが少な
        い。
        地金が鈍い色であれば、軟らかく研ぎ易い。
        境目がくっきり分かれていると低温で鍛接、火作りができているので
        粘りがある。
        反対に境目がボケていたりスジがあると鍛接や火作りの温度が高い
        ので脱炭や組織が粗く欠け易い。

      A鋼がコの字型に巻いてある(カスガイがある。)このカスガイがある為
        に刃の厚みが薄くても強靭な刃になります。

      B側面(ソバ)にダレが無く、刃先の巾が呼び寸と同じか0.1〜0.3mm狭
        くて奥に行くと刃先より0.3mm程狭いのが良い。
        これはソバが平行の時は、釘と同じで入っても抜け難いので、刃先よ
        り奥に行く程狭く してあります。
        呼び寸より広いと30oの穴を開けるのに、それ以上の穴になるので
        狭くしています。


    Q 鑿の鋼は?

    A 本職用はヤスキ鋼の白紙2号、青鋼、ハイス鋼、ハイブリッド鋼、スェー
      デン鋼、等を使っております。
      研ぎ易いのが白紙、長切れが青鋼、ハイス鋼となっております。


    Q 鑿の地金は?

    A 軟らかくて研ぎ易いように炭素が0.07%以下の極軟鋼を使っています。


    Q 鑿の硬さは?

    A 本職用はヤスキ鋼白紙2号でHRC65〜67。DIY用ではHRC63〜65。


    Q 刃先の角度は?

    A 26度〜30度位で、用途により突き鑿の木成鑿や差鑿は26度〜28度。
      叩き鑿の追入、中薄鑿で28度〜30度。


    Q 集成材鑿とは何ですか?

    A 用途別の名称で集成材など樹脂の入った硬い合成木材でも刃が欠け
      難く黒丹、欅、等にも最適です。

      刃の角度は28度位に荒研ぎをして、先端だけ30度に研げば、欠け難く
      食い込みの良い研ぎとなります。

      人工大理石など特に硬い素材には、33度〜35度に先端だけ研げば刃
      欠けずに使用できます。

      材質はハイス鋼を使用しておりますので、荒研ぎはグラインダーで手早
      く研ぐ事ができます。(600℃まで焼きが戻らない。)


    Q 東天匠青鋼鑿とはどういう特徴ですか?

    A 鑿は研ぎやすく良い刃付けができるように白紙を中心に作っておりまし
      たが、今まで別注品で作っていた青鋼を東天匠として標準品といたしま
      した。一般の追入鑿と替刃式鑿の2種類作りました。
      青鋼の特徴はタングステンが入っておりますので白紙より耐久力があ
      り長切れいたします。


    Q 鑿の柄の種類と特徴は?

    A 白樫、赤樫、グミ、黒丹、等を使用しますが、鉋の赤樫とは別の物で
      白樫と赤樫が一般的。

      グミ柄は淡路島など兵庫県南部で取れ、冬に伐採して数年自然乾燥す
      る事であの美しい黄色に仕上がります。

      グミ柄は石割玄翁等に使われるように非常にねばく、芯持ちの為折れ
      ずに使えます。鑿の柄として使う事により芯持ちで力が真直ぐに入り、
      手には軟らかく響かないので疲れません。


    Q ホームセンターの鑿は本職用に使えますか?

    A ホームセンターの鑿は、一般ユーザー用のDIY鑿を中心に本職用まで
      揃えてありますので、鋼がヤスキ鋼の白紙(当社 丸勝、兼友)以上の
      鑿を選んでいただきたい。
      上に書き込みました『良い鑿の見分け方』と柄が良い物を選んで下さ
      い。


    Q 柄の形で良い鑿と悪い鑿が分るのですか?

    A 良い鑿は、それに見合った柄を使っています。
      形の上では、上物(播州三木)は口金に面取りがあり、下り輪の厚みも
      良い位で、内部に面取りがあり、自然に輪が下がっていきます。
      また、ロクロか旋盤で加工しますので、適度に側面と頭とが膨らんでい
      る事。


    Q 色んな成分が入ったものでどのような割合でどんなものが入っている
      のか?もっと知りたいです。
      (2006三木金物まつりに平行して行われた金物大学受講生の方からの
      質問です。原文のまま記載します。)

    A 地鉄は、鉄(Fe)の純度が高く、炭素(C)0.07%以下が軟らかくて良い
      地鉄になります。
      鑿の鋼は、主に白紙2号を使います。純度の高い鉄(Fe)に炭素(C)を
      1.1%〜1.2%入れます。刃研ぎがしやすい鋼です。
      鉋用の鋼は、青紙1号などを使います。純度の高い鉄(Fe)に炭素(C)
      を1.3%〜1.4% クロム(Cr)0.3%〜0.5% タングステン(W)を1.5%〜
      2%入れます。
      講座でも少し話しましたが、炭素(C)が0.8%で共折鋼、0.2%〜0.8%で
      は、炭素(C)が多いほど焼入が硬く入ります。0.8%以上だとセメンタイ
      ト(Fe3C)ができ耐磨耗性が向上します。これを一般に炭素鋼と言い、
      白紙にあたります。これにクロム(Cr)とタングステン(W)を加えたのが
      青紙(合金工具鋼)で、クロム(Cr)が焼入性と耐摩耗、タングステン
      (W)が耐摩耗と耐熱性が向上します。
      鉋のようなこすれながら削っていく刃物は、特に耐摩耗性と耐熱性を上
      げる為にタングステン(W)を入れ、鉋は厚いので焼入れ性を上げる為
      クロム(Cr)を入れます。
      最近、削ろう会などでは、耐久力より刃研ぎのしやすい白紙を使った鉋
      もあります。


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